イラストレーションフェスティバル

カシワイ

カシワイ

カシワイ

イラストレーター、漫画家。主な仕事に、トーチwebでの連載をまとめた漫画『107号通信』(リイド社)、『洗礼ダイアリー』文月悠光(ポプラ社)装画などがある。トップビジュアルは『凍土二人行黒スープ付き』雪舟えま著(筑摩書房)装画。
HP:http://www.kashiwaikflx.com/

時よ止まれ、君は美しい。

カシワイさんの作品を初めて見たのは、青山の書店でのこと。ふと目にした、雪舟えまさんの小説『凍土二人行黒スープ付き』(筑摩書房)の装画に引き込まれた。まわりの雑音がスッと消えて、少し大げさだけれど時間が止まったような感覚。水面に広がる波紋のように、静かに心が揺れ動く。クレジットを確認すると、装丁は大好きなクラフト・エヴィング商會さんによるもの。ますます気になり、作品を追いかけるようになった。

時が止まったかのような錯覚は、なぜ起きたのか? あれこれ思いを巡らして、ドイツの文豪・ゲーテによる戯曲「ファウスト」の名言「時よ止まれ、お前は美しい」を思い出した。生涯を終える間際に迎えた人生最上の瞬間に対して、主人公の口からこぼれ落ちる台詞だ。幸福な感情は極まり、このまま時間が止まってほしいと願う。

カシワイさんの絵を眺めていると、止まらない時間の流れや、従うべき重力といった概念に縛られていないことに気付く。一斉に鳥が羽ばたく瞬間はどんな景色だろう。月面に佇む女の子はどんな気持ちだろう。画面に表れた美しい心象風景は、瑞々しいイマジネーションで彩られている。描くことは自由だと、絵が物語っているようだ。

「静かな絵」だと感じる人も多いだろう。音や動きに余白がある分、そこに込められた心情が読み取れる。人は一つの感覚が失われると、別の感覚が研ぎ澄まされるというけれど、絵に引き込まれるのにはそんな理由があるのかもしれない。もしあなたも自分の時間が止まったように感じたならば、それはきっと絵の中に流れる時間を共に過ごしているからだ。(担当:柿本康治)



「火のグラス」

ポストカード各種。一番右は、今夏に開催された「活版TOKYO2018」内の企画「活版 Meets Creators」で制作された活版印刷カード。印刷は「BIRD DESIGN LETTERPRESS」によるもの。グレー2色、ハイデルベルグのプラテン式印刷機で印刷。紙はスノーブル-FS。イベント時は100部限定で制作された貴重なアイテムです。

新作のエコバッグ

カシワイ×手紙社 ロール付箋「川 小景」

ミシン目で、川の風景が切り取れます

カシワイ×手紙社 メモパッド2種

「羽搏き」
「飛行」

カシワイさんのブースナンバーは「11」。こちらの絵が目印です。