イラストレーションフェスティバル

そで山かほ子

そで山かほ子

そで山かほ子

アクリル絵の具をたっぷり塗った作品や独特のタッチの線画が特徴。安西水丸塾を受講、2009年よりグループ展に多数参加、2013年よりフリーランスとして広告・雑誌・書籍などのイラストレーションを中心に幅広く活躍中。近年はプライウッドのカットワークのプロダクトも手がけている。
HP:http://sodekaho.com

世界と時空を越えて息づくチャーミングな生命の表情を鮮やかに記す、旅人にしてストーリィテラー

誤解を恐れずにいえば、筆者にとっての彼女はイラストレーターではない。世界中のあらゆる場所で時空を超えてそっと息づきチャーミングな表情を見せる草花を、大地を、そして市井を、ノスタルジーとリアリズムを自在に行き来しながら鮮やかに眼の前に召喚するストーリィテラー(語り部)、である。その証左に、たっぷりと盛り付けられたアクリル絵の具が織りなす文字通り立体的な技法は、ときにキャンバスにとどまらずプライウッド(合板)の上で踊り、大胆なシルエットのままにカットアウト。陽に焼け翳りある憂いを帯びながらもどこか人懐っこく明るい色彩と手触りから組み立てられるランドスケープは、まるでかつての生い立ちの記憶を抱えたまま飾られたその場所に生まれ、暮らし、当たり前のように鼓動する生命体のようで。それもそのはず、そで山自身もまた彼女の描き出す世界にみずみずしく芽吹く花であり、それを記す旅人、なのである。(担当:藤井道郎)