イラストレーションフェスティバル

内田有美

内田有美

内田有美

神奈川県生まれ。デザイン事務所勤務後、フリーランスで活動。雑誌や書籍、広告などの仕事のほか、個展での作品発表も行っている。
HP:http://yumkim.petit.cc/

確かなリアリズムに個性は宿る

今でこそ、心惹かれた雑誌の挿絵や装画のクレジットを確認するようになったけれど、昔は誰がその絵を描いたかはそこまで気にせず、ただ紙に印刷されたイラストレーションが好きで眺めていた。内田有美さんの絵もその一つで、雑誌『BRUTUS』(マガジンハウス)に載っていたパフェを見て、写真かと思ったら手で描かれていると知り、びっくりすると同時に「こんな風にリアルな絵を使うなんて、粋だな」と感じたことを覚えている。

だいぶ年月が経った後、京都の書店<誠光社>に立ち寄った際に一つのカレンダーに目が留まった。エメラルドなどの「鉱石」をテーマにしたイラストレーションが載った、短冊型のカレンダー。鉱石の美しい輝きや、硬度までもが伝わってくる。それが内田有美さんが作ったものだと知り、他のお仕事を調べていくうちに「この絵も雑誌で見たことあるぞ!」と驚いた。スピードが求められる媒体で、これだけ丁寧な仕事をしている人はどんな人だろうか、と気になった。

デフォルメによる形の捉え方や、その人ならではのタッチや色彩感覚がある絵は、作家の個性を感じ取りやすい。そんな先入観を持っていたが、モチーフの姿形だけではなく、物を見た人が受け取る印象までも緻密に描写した内田有美さんの作品には、他に類を見ない職人的なオリジナリティーを感じ、ぜひ出展してほしいとお声掛けした。

今回は、「鉱石」「白」という2つのテーマをベースにした原画とグッズの展示・販売がメインとなる。リアリズムを根底から支える、内田さんの細やかな感受性、そして鋭い観察眼に注目してもらいたい。(担当:柿本康治)


「白」「鉱石」をテーマにしたオリジナルカード。原画も展示・販売します